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2026年09月29日
コラム

店舗・公共施設にテラゾー床を採用するには|耐久性・清掃性・意匠性とメンテナンスの考え方 アイキャッチ

店舗や公共施設の床に、耐久性と意匠性、環境への配慮を求めるなら、テラゾー床が選択肢のひとつです。

人の往来が多い施設では、床の傷みや汚れが改修の頻度を左右します。国内では年間約100万tを超える廃瓦が産業廃棄物として排出されているといわれ、建材の資源循環も課題となっています。

この記事の要約

  • 耐久性・清掃性・意匠性から見た採用の判断ポイント
  • 施設タイプ別の検討ポイントとメンテナンスの考え方
  • 廃瓦を骨材に活かしたテラゾーという選択肢

資料請求・サンプル請求のほか、現地調査やお見積りのご相談も承っています。

本記事は、リサイクル建築資材メーカー・産業廃棄物中間処理業として、廃瓦を活用した床材や舗装材の製造・施工を手がけるEcoKawara編集部がお届けします。設計・発注の判断材料としてお役立てください。

店舗・公共施設の床材としてテラゾーが検討される理由

テラゾー床の採用検討時に整理したい3つの視点。耐用性・意匠性・環境配慮それぞれの期待できることと確認ポイントをまとめた図

店舗や公共施設の床は、毎日多くの人が行き交ううえ、一度仕上げると簡単には張り替えられません。そのため床材を選ぶときは、見た目の好みだけでなく、長く使い続けられるか、維持管理の負担はどの程度かといった視点も欠かせません。ここでは、テラゾー床が候補に挙がる主な理由を3つの観点から整理します。

改修サイクルを長く取りたい施設で、床の耐用性が重視されている

商業施設や庁舎、学校などでは、床の改修にともなう休業や利用制限が運営の負担になりやすい傾向があります。改修の間隔をできるだけ長く取りたいという考えから、摩耗に強い床材が求められています。

テラゾーは、種石とセメントや樹脂を一体化させ、表面を研ぎ出して仕上げる床材です。種石が骨材の役割を担うため、摩耗に強い仕上げとして古くから使われてきました。昭和期に施工された学校の廊下や階段、駅のコンコースなどで、いまもテラゾーや人研ぎの床が現役で使われている例は少なくありません。

床の改修サイクルに影響する主な要素は、次のとおりです。

  • 歩行や台車・什器の移動による表面の摩耗
  • 汚れの染み込みや変色による美観の低下
  • 下地の動きが原因のひび割れや目地の劣化
  • 清掃方法やメンテナンス頻度の違い

いずれも素材だけで決まるものではなく、設計段階の計画と竣工後の維持管理が大きく関わります。詳しくは、後半の「耐久性」と「メンテナンス」の章で解説します。

空間の第一印象を左右する床に、意匠性が求められている

床は視界に占める面積が広く、来訪者が空間の印象を受ける大切な要素です。店舗ではブランドの世界観を、公共施設では地域らしさや親しみやすさを床で表現したいという要望もよく聞かれます。

テラゾーは、種石の種類や色、粒の大きさに、ベースとなるセメントや樹脂の色を組み合わせることで、表情を幅広く調整できます。現場で塗り付けて研ぎ出す現場テラゾーなら、曲線を使ったパターンやロゴの埋め込みなど、既製品では難しい意匠にも対応しやすくなります。

環境配慮建材の採用が、設計・調達の要件になりつつある

環境配慮建材が選ばれる背景と、不要になった瓦を破砕して種石にし、テラゾー床に再生する資源循環の流れを示した図。瓦リサイクル率60%以上

建物の環境性能評価や企業のESG方針、自治体の調達方針などを背景に、環境に配慮した建材が選ばれる場面が増えています。公共工事ではグリーン購入法に基づく調達が進められており、CASBEEなどの環境性能評価でも、リサイクル材の使用が評価項目のひとつに位置づけられています。

テラゾーは、大理石の端材を活かす技法として広まったともいわれ、もともと再生材と相性のよい素材です。EcoKawaraでは、震災や老朽化で不要になった瓦を種石に活用し、瓦リサイクル率60%以上の素材による床仕上げをご提案しています。施設の環境配慮の取り組みを、床という目に見える形で伝えられる点も特徴です。

採用検討時に整理したい3つの視点

視点 施設側の主なニーズ テラゾー床で期待できること あわせて確認したいこと
耐用性 改修の間隔を長く取りたい 摩耗に強い仕上げ 下地・目地の計画、メンテナンス体制
意匠性 ブランドや地域性を表現したい 種石・色・パターンの自由度 サンプルやモックアップでの色味確認
環境配慮 調達方針や環境評価に対応したい 再生材を骨材として活用 リサイクル率や試験データなどの資料

耐久性|人の往来が多い床でテラゾーを検討する際の視点

テラゾーは摩耗に強い床材として知られていますが、長く使えるかどうかは素材の性質だけでは決まりません。施設の使われ方に合った仕様を選び、下地や目地まで含めて計画することで、本来の性能を発揮しやすくなります。この章では、設計段階で押さえておきたい耐久性の考え方を整理します。

歩行量・台車・什器荷重など、用途ごとに確認したい条件

物販店・飲食店・エントランス・庁舎や駅・学校の5つの用途別に、テラゾー床にかかる主な負荷と設計時の確認ポイントをまとめた図

同じ「人の往来が多い床」でも、施設や場所によって床にかかる負荷は大きく異なります。どのような負荷がどの程度かかるのかを先に洗い出しておくと、仕様の検討がスムーズです。

用途・エリア別に確認したい条件の例

用途・エリア 想定される主な負荷 設計時に確認したいこと
物販店の売場 多くの歩行、台車や什器の移動 キャスターの種類、什器の配置替えの頻度
飲食店の客席・厨房まわり 水や油、椅子の引きずり 防滑性、目地の位置、洗剤や薬剤の種類
エントランス・風除室 砂や泥の持ち込み、雨水 防滑性、玄関マットの計画、屋外との見切り
庁舎・駅のコンコース 大量の歩行、床洗浄機の走行 清掃機械の重量、目地割り
学校の廊下・階段 集中的な歩行、段鼻への衝撃 段鼻の補強、ノンスリップの有無

とくに見落とされやすいのが、台車や清掃機械のキャスターによる負荷です。硬い車輪は床の一点に力が集中しやすく、目地や端部の欠けにつながることがあります。竣工後に運営側が使う機材まで確認しておくと安心でしょう。

厚み・下地・目地(伸縮目地)の計画が耐久性に与える影響

テラゾー床の耐久性は、表面の仕上げ層だけでなく、その下の構成にも大きく左右されます。

従来の現場テラゾーは、下塗りを含めて30〜50mm程度の塗り厚が必要とされてきました。近年は5〜10mm程度の薄塗りタイプも登場していますが、厚みによって向いている用途や下地の条件は変わります。新築か改修か、床の高さにどれだけ余裕があるかによって選べる工法も異なるため、早めに確認しておくことが大切です。

下地との付け方にも、いくつかの考え方があります。下地に直接モルタルを塗って密着させる「密着工法」のほか、ルーフィングなどを挟んで下地の動きの影響を受けにくくする「絶縁工法」などがあり、下地の状態や施設の条件に応じて使い分けるのが一般的です。

目地は、意匠上の区切りであると同時に、床の動きを逃がす役割も担います。テラゾー床のひび割れは、下地コンクリートの割れや動きが表面に現れて生じるケースが多いとされています。そのため、下地の誘発目地と同じ位置にテラゾー側にも目地を設けるなど、設計段階での目地計画が重要です。目地割りは意匠だけで決めず、下地の目地位置と照らし合わせて検討しておくと安心です。

割れ・欠けを抑えるために、設計段階で配慮したいポイント

テラゾー床の割れや欠けを抑えるために、設計段階で配慮したい5つのポイント(目地、端部の保護、段鼻の補強、動線の共有、養生期間)を示した図

ひび割れや欠けは、下地の動きに加えて、荷重の集中や施工時の養生不足などが重なって起こることもあります。設計段階で次のような点に配慮しておくと、リスクを抑えやすくなります。

  • 下地の誘発目地・伸縮目地と、テラゾーの目地位置をそろえる
  • 異なる床材との取り合いや段差部分は、見切り材で端部を保護する
  • 階段の段鼻など衝撃を受けやすい部分は、補強やノンスリップの設置を検討する
  • 重量物を置く場所や台車の動線は、事前に施工者と共有する
  • 硬化・養生の期間を工程に見込み、早い段階での荷重や歩行開始を避ける

清掃性|日常清掃と衛生管理のしやすさを見極める

店舗や公共施設では、床の清掃をほぼ毎日行います。清掃にかかる手間や汚れの残りにくさは、運営コストにも利用者の印象にもそのまま影響する要素です。この章では、テラゾー床の清掃性を見極める視点と、竣工後の清掃ルールづくりのポイントを紹介します。

表面の緻密さ・目地の少なさと、汚れの付きにくさの関係

テラゾー床の汚れの付きにくさを左右する3つのポイント(研磨による緻密な面、表面保護材、目地の間隔)を示した図

テラゾー床は、表面を段階的に研磨して仕上げるため、細かな凹凸の少ない緻密な面になりやすい床材です。凹凸が少ないほど汚れが引っかかりにくく、モップでの拭き取りも比較的スムーズに進みます。

一方で、セメント系のテラゾーには、種石よりもベースのセメント部分に汚れが染み込みやすい性質があります。そのため、仕上げの最終工程で表面保護材やトップコートを施し、汚れの浸透を抑えるのが一般的です。

目地の数も、清掃性を左右する要素のひとつです。タイルを張る床に比べると、現場で塗り付けて研ぎ出すテラゾーは目地の間隔を広く取りやすく、汚れのたまりやすい溝を減らせます。ただし、前章で触れたとおり目地には下地の動きを逃がす役割もあるため、清掃性と耐久性のバランスを見ながら目地割りを決めていくことが大切です。

飲食店・トイレ・医療福祉施設など、水まわりで確認したい点
(滑り・油汚れ・薬剤)

砂・ほこり、油汚れ、酸を含む飲食物、尿汚れ・水垢、消毒剤の5種類別に、テラゾー床の日常の対応と注意したいことをまとめた図

水や油、薬剤を使う場所では、清掃性に加えて安全性への配慮も欠かせません。

まず確認したいのが滑りです。テラゾー床の滑りやすさは仕上げ方法によって変わり、磨き仕上げでは水濡れ時に滑りを感じるケースがあります。一般に、すべり抵抗係数(C.S.R値)が0.4以上あると滑りにくい床とされ、研磨の程度や仕上げ方法、防滑処理で調整を図るのが一般的です。水まわりや出入口では、艶のある磨き仕上げより、表面に細かな凹凸を残す仕上げが選ばれることも多く見られます。

油汚れや飲み物のこぼれ、施設で使う消毒剤なども、事前に確認しておきたい項目です。

汚れ・薬剤の種類別に見る日常の対応例

汚れ・薬剤の種類 起こりやすい場所 日常の対応 注意したいこと
砂・ほこり エントランス
風除室
掃き掃除、ダストモップ 砂が研磨剤のように働き、艶落ちにつながる
ことがある。玄関マットの設置も役立つ
油汚れ 飲食店の厨房周辺
客席
中性洗剤で早めに拭き取る 放置すると素地に染み込みやすい
酸を含む飲食物
(酢・柑橘・炭酸飲料など)
飲食店、カフェ
フードコート
こぼれたらすぐに
拭き取る
艶が落ちたり、シミになったりすることがある
尿汚れ・水垢 トイレ 中性洗剤でこまめに清掃する 酸性洗剤の使用は避けたい
消毒剤・薬剤 医療・福祉施設 使用する薬剤を事前に
確認する
表面保護材との相性を確かめておく

医療・福祉施設では、感染対策のために塩素系などの消毒剤を日常的に使う場合があります。使用予定の薬剤を設計段階で共有し、床材や表面保護材との相性を確認しておくと安心です。

清掃時に避けたい洗剤・機材と、清掃マニュアルへの反映

テラゾー床の日常清掃で避けたいもの(酸性洗剤・目の粗い研磨パッド・硬いブラシ)と、基本の清掃(掃き掃除・水拭き・中性洗剤)を比べた図

テラゾー床の日常清掃は、掃き掃除とモップでの水拭きを基本とし、汚れには中性洗剤を使うのが一般的です。セメント系の素地や大理石系の種石は酸の影響を受けやすく、トイレ用などの酸性洗剤は艶落ちやシミの原因となるおそれがあるため、使用を避けるケースが多いです。

使う機材にも、いくつか注意点があります。目の粗い研磨パッドや硬いブラシで清掃を続けると、表面に細かな傷がつき、艶が落ちたり汚れが付きやすくなったりすることがあります。

こうした注意点は、施設の清掃を担う管理会社や清掃事業者と共有しておかないと、竣工後の清掃に活かされません。引き渡しの段階で、次のような内容を清掃マニュアルに反映しておくとよいでしょう。

  • 日常清掃・定期清掃それぞれの手順と頻度
  • 使ってよい洗剤と、避けたい洗剤(酸性洗剤など)
  • ポリッシャーで使えるパッドやブラシの種類
  • 油や飲み物をこぼしたときの初期対応
  • 表面保護材の種類と、塗り直しの目安

意匠性|施設のコンセプトを床で表現する

床は、来訪者が空間に足を踏み入れて最初に目にする場所のひとつです。店舗ならブランドの世界観を、公共施設なら地域らしさや親しみやすさを、床のデザインで伝えたいという要望も少なくありません。この章では、テラゾーで意匠を考えるときの要素と、施設のコンセプトを床に落とし込む方法を紹介します。

種石・ベース色・粒度の組み合わせで変わる床の表情

テラゾーの表情を決める5つの要素(種石の種類・粒の大きさ・種石の量・ベースの色・仕上げ方法)と、モックアップで確認したい点をまとめた図

テラゾーの表情は、いくつかの要素の組み合わせで決まります。同じ種石でも、粒の大きさやベースの色を変えるだけで、落ち着いた印象にも華やかな印象にも仕上がります。

テラゾーの意匠を決める主な要素

要素 主な選択肢 仕上がりへの影響
種石の種類 天然石、瓦、陶磁器、レンガ、ガラスなど 色味や質感、素材が持つ物語
種石の粒の大きさ 細かな粒から大粒まで 細かいほど繊細に、大きいほど大胆に見える
種石の量 多め・少なめ 石の存在感や、ベース色の見え方
ベースの色 グレー、白、顔料による着色 床全体のトーン
仕上げ方法 磨き、艶を抑えた研磨、ショットブラストなど 光沢感や、足元の滑りにくさ

EcoKawaraのテラゾーでは、3〜20mmほどの種石を使っています。ある程度の大きさがある種石を混ぜることで、素材そのものの存在感を活かした表情に仕上げやすくなります。

色や粒の見え方は、小さなサンプルと実際の床とで印象が変わることがあります。大きな面積に施工する場合は、サンプルやモックアップを使って、次のような点を事前に確かめておくと安心です。

  • 実際の照明の下で、色がどう見えるか
  • 水に濡れたときに、色味がどう変わるか
  • 仕上げ方法(艶の度合い)による印象の違い
  • 周囲の壁材や什器、サインとの相性

ロゴ・サイン・動線のゾーニングを床に組み込む

受付・待合・通路をテラゾー床の色で分けたロビーの平面図と、計画時に確認したい目地の位置・点字ブロック・色のコントラストを示した図

現場で塗り付けて研ぎ出すテラゾーは、色の異なる部分を目地棒で区切りながら施工できるため、床に図柄を描くような表現にも向いています。

店舗では、エントランスにブランドロゴを入れたり、売場ごとに床の色を切り替えてエリアの違いを伝えたりする使い方があります。公共施設では、受付や待合、通路といったゾーンを床の色で分けることで、初めて訪れた人にも動線がわかりやすくなるでしょう。

図柄や色の切り替えを計画する際は、目地の位置が下地の目地計画と重なるかどうかも確認が必要です。あわせて、点字ブロックや案内サインとの位置関係、色のコントラストにも配慮しておくと、誰にとっても使いやすい床に近づきます。

廃瓦を骨材に使ったテラゾーで、地域性や環境へのストーリーを伝える

意匠性を「見た目」だけでなく、「素材の背景」まで含めて考える設計者も増えています。

EcoKawaraでは、震災や老朽化で不要になった瓦を自社で受け入れて破砕し、テラゾーの種石として活用しています。瓦の受け入れから資源化までを、産業廃棄物中間処理業として自社で担っているため、瓦リサイクル率60%以上の素材による床仕上げをご提案できるのが強みです。

瓦ならではの落ち着いた色合いは、和の空間はもちろん、モダンな内装にもなじみやすい素材です。地域の瓦を活かした床は、その土地の歴史や風景を伝える要素にもなります。施設の環境配慮の取り組みを、来訪者の目に触れる床で表現できる点も、廃瓦テラゾーの持ち味といえるでしょう。

施設タイプ別に見るテラゾー床の検討ポイント

物販店・飲食店、エントランス、公共施設、学校・福祉施設の4つの施設タイプ別に、テラゾー床で重視されやすいポイントと確認ポイントをまとめた図

ここまで、耐久性・清掃性・意匠性の3つの視点からテラゾー床を見てきました。実際の案件では、施設の種類によってどの視点を優先するかが変わります。この章では、代表的な施設タイプごとに、検討の際に押さえておきたいポイントを整理します。

施設タイプ別に重視されやすいポイント

施設タイプ 重視されやすいポイント 検討時に確認したいこと
物販店・飲食店 意匠性、清掃性 営業しながらの改修が必要か、油や水の使用状況
ホテル・オフィスのエントランス 意匠性、屋内外の一体感 屋外アプローチとの取り合い、雨天時の滑り
庁舎・図書館・駅などの公共施設 耐久性、維持管理のしやすさ、環境配慮 長寿命化の方針、調達方針との整合
学校・福祉施設 安全性、清掃性 滑りにくさ、段差の有無、使用する消毒剤

物販店・飲食店|ブランド表現と、営業しながらの改修への配慮

物販店や飲食店では、床がブランドの印象を形づくる大切な要素になります。種石の色やロゴの埋め込みなどで個性を出しやすいテラゾーは、店舗のリニューアルでも候補に挙がりやすい床材です。

改修の場合に悩ましいのが、営業との両立です。現場テラゾーは塗り付けから研磨、養生までに一定の日数がかかり、研磨の工程では音や水、粉じんへの対策も欠かせません。営業を続けながら施工する場合は、次のような点を早めに決めておくと、工程を組みやすくなります。

  • 施工する範囲を分けて進めるか、一度に仕上げるか
  • 夜間や休業日に作業できるか
  • 研磨時の音や粉じんへの対策、近隣テナントへの周知の方法
  • 養生期間中に、お客様や従業員の動線をどう確保するか

条件によっては、既製品のテラゾータイルや薄塗りタイプのほうが工期を短くできる場合もあります。工法の違いは、後の章で概要を紹介します。

ホテル・オフィスのエントランス|屋内外をつなぐ素材の一体感

エントランスは、建物の顔ともいえる場所です。屋内のロビーと屋外のアプローチで素材の雰囲気をそろえると、敷地に入った瞬間から一貫した印象を届けやすくなります。

テラゾーは屋外の舗装にも使えるため、アプローチからロビーまで同じ種石で仕上げるといった計画も考えられます。ただし屋外は雨に濡れやすく、屋内よりも滑りにくさを重視した仕上げが求められます。屋内外で仕上げ方法を変えながら、見た目の統一感を保つ工夫が大切です。

屋外部分では、保水性舗装などを組み合わせて、夏場の路面温度の上昇を抑える工夫も検討できます。建物まわりの暑さ対策やヒートアイランド対策にも配慮した外構計画は、施設の環境配慮の姿勢を伝えることにもつながるでしょう。

庁舎・図書館・駅などの公共施設|長期維持管理と、環境配慮方針との整合

公共施設では、数十年単位での使用を前提に、施設を長く使い続けるための計画が求められます。公共施設等総合管理計画などで長寿命化の方針を掲げる自治体も多く、床材にも改修の頻度を抑えやすいことが期待されています。

テラゾーは、表面の摩耗や傷を再研磨で整えられる場合があり、張り替えずに美観の回復を図れる点が長期の維持管理と相性のよいところです。設計段階から、日常清掃・定期清掃・再研磨の役割分担を想定しておくと、将来の維持管理費の見通しも立てやすくなります。

また、環境配慮の方針との整合も確認しておきたいポイントです。廃瓦などの再生材を骨材に使うテラゾーは、資源の循環や埋め立て処分量の削減に寄与し、新たな資源の採取を抑えることでCO2削減にもつながると考えられます。

学校・福祉施設|安全性(滑り)と清掃性のバランス

学校や福祉施設では、子どもや高齢者など、さまざまな人が床を使います。とくに重視したいのは、滑りにくさと、つまずきにくさです。

水まわりや廊下では、磨き仕上げで艶を出すより、表面に細かな凹凸を残して滑りにくくする仕上げが選ばれることもあります。一方で、凹凸を強くしすぎると汚れが残りやすくなるため、安全性と清掃性のバランスを見ながら仕上げを決めていくことが大切です。段差をなくすことや、異なる床材との取り合いをなめらかに納めることも、つまずきの防止につながります。

メンテナンスの考え方|竣工後の美観を長く保つために

テラゾー床の美しさを長く保てるかどうかは、竣工後のメンテナンスに大きく左右されます。とはいえ、特別な手入れを頻繁に行う必要があるわけではありません。日常の清掃から数年単位の再研磨まで、それぞれの役割を整理して計画に組み込んでおくことが大切です。この章では、テラゾー床のメンテナンスの考え方を段階ごとに紹介します。

日常清掃・定期清掃・再研磨の役割分担

テラゾー床の美観を保つ3つのメンテナンス(日常清掃・定期清掃・再研磨)について、頻度の目安と担い手、主な作業をまとめた図

テラゾー床のメンテナンスは、大きく3つの段階に分けて考えると整理しやすくなります。

  • 日常清掃:掃き掃除やダストモップ、中性洗剤での水拭きなど。施設の清掃スタッフが毎日行うことが多い
  • 定期清掃:ポリッシャーや床洗浄機による洗浄、表面保護材の点検と塗り直しなど。清掃事業者が月に1回から数か月に1回ほどの間隔で行うケースが一般的
  • 再研磨:表面の摩耗や細かな傷が目立ってきた段階で、専門業者が研磨し直す。施設の使われ方によって、数年から十数年単位で状態を見ながら判断する

頻度はあくまで目安で、歩行量や汚れの種類によって大きく変わります。日常清掃で砂やほこりをこまめに取り除いておくと、表面の摩耗が進みにくくなり、定期清掃や再研磨の間隔を延ばしやすくなります。

コーティング・ワックスの要否と、選ぶ際の注意点

テラゾー床の表面保護には、いくつかの方法があります。どれを選ぶかは、求める質感や清掃体制、使用環境によって変わります。

テラゾー床の主な表面保護の方法

種類 特徴 検討時の注意点
浸透性の保護材
(含浸型)
素地に染み込み、汚れや水の浸透を抑える。
見た目の変化が少ない
艶はあまり出ない。効果が続く期間を確認しておく
塗膜型の
コーティング
表面に膜をつくり、艶や防汚性を高める 膜の摩耗に応じた塗り直しが必要。
滑りやすさの変化も確認したい
樹脂ワックス 比較的手軽に艶を出せる 塗り重ねると黄ばみや汚れの閉じ込めが起こることがあり、
定期的な剥離が必要

注意したいのは、ワックスを長年塗り重ねたままにしておくケースです。古いワックスの層に汚れが閉じ込められ、床全体が茶色くくすんでしまう例も見られます。こうなると、剥離や研磨に手間がかかり、かえって維持管理の負担が大きくなることがあります。

表面保護材を選ぶときは、艶の好みだけでなく、竣工後に誰がどの頻度で手入れをするのかまで想定しておくと、無理のない仕様を選びやすくなるでしょう。

表面の摩耗や傷は、部分的な研ぎ直しで回復を図れる場合がある

摩耗や傷が目立つテラゾー床の表面を薄く研磨して新しい面を出す研ぎ直しの流れと、部分補修の3つの方法を示した図

テラゾー床の特長のひとつが、表面を研ぎ直すことで美観の回復を図れる点です。塗り床や張り床のように全面を張り替えるのではなく、表面を薄く研磨して、新しい面を出すという考え方ができます。

摩耗や傷が一部に集中している場合は、その範囲だけを研ぎ直したり、欠けた部分を同じ配合の材料で埋め直したりする方法もあります。ひび割れについては、原因となった下地の状態を確認したうえで、補修の方法を検討するのが一般的です。

廃瓦を骨材に使ったテラゾー床も、一般的なテラゾーと同様に、部分補修や再研磨で表面の回復を図れる場合があります。ただし、劣化の範囲や程度によっては補修跡が目立つこともあるため、種石や色味をどこまで合わせられるかを事前に確認しておくと安心です。

ライフサイクルで考える維持管理計画の立て方

床材を選ぶ際は、初期費用だけでなく、竣工後の清掃費や補修費、将来の改修費まで含めて考えることが大切です。張り替えの回数を抑えられれば、改修にともなう休業や利用制限の期間も短くできる可能性があります。

維持管理計画には、次のような項目を盛り込んでおくと、将来の担当者にも引き継ぎやすくなります。

  • 日常清掃・定期清掃の手順と頻度
  • 表面保護材の種類と、塗り直しの目安
  • 再研磨を検討する目安(艶の低下や摩耗の範囲など)
  • 施工時の種石・ベース色・配合の記録
  • 部分補修に備えた予備材の保管方法

なかでも、種石や配合の記録は見落とされがちな項目です。将来の部分補修で色味を合わせる際の手がかりになるため、竣工図書とあわせて保管しておくことをおすすめします。

採用前に整理したい工法選定と相談の進め方

テラゾー床の採用を具体的に進める段階では、どの工法を選ぶか、どんな情報を施工者と共有しておくかが、仕上がりや工期を大きく左右します。この章では、工法を選ぶときの考え方と、相談をスムーズに進めるためのポイントを紹介します。

現場テラゾーかプレキャストか

テラゾー床の工法は、現場で塗り付けて研ぎ出す「現場テラゾー」と、工場で製造したテラゾータイルなどを張る「プレキャスト」の2つに大きく分けられます。どちらが適しているかは、意匠の要件や工期、施工条件によって変わります。

現場テラゾーとプレキャストの主な違い

比較の視点 現場テラゾー プレキャスト(テラゾータイルなど)
意匠の自由度 曲線やロゴ、色の切り替えに対応しやすい 規格の範囲内から選ぶことが多い
目地 間隔を広く取りやすい 製品のサイズごとに目地が入る
工期 塗り付け・研磨・養生に日数がかかる 現場での工程が比較的少ない
仕上がりの確認 サンプルやモックアップで事前に確かめる 製品そのもので色柄を確かめやすい
部分補修 研ぎ直しや同じ配合での埋め直し 製品単位での交換を検討できる

大きな面積に意匠を凝らしたい場合は現場テラゾー、工期を優先したい場合や規格品で十分な場合はプレキャスト、というように、案件の優先順位に合わせて選ぶのが一般的です。

設計・発注段階で共有しておきたい情報

仕様の検討や見積りを依頼する際は、次のような情報を早めに共有しておくと、提案の精度が上がりやすくなります。

  • 施工する場所と、おおよその面積
  • 施設の用途と、想定される歩行量や荷重(台車・什器など)
  • 新築か改修か。改修の場合は既存床の仕上げと状態
  • 床の高さに確保できる仕上げ厚
  • 工期と、作業できる時間帯(夜間・休業日など)
  • デザインの要件(色、種石、図柄やロゴの有無)
  • 環境配慮の要件(リサイクル率、提出が必要な資料など)

改修案件では、既存床をどう扱うかが検討の大きなポイントです。既存床の上から施工できるかは、下地の状態と確保できる仕上げ厚によって異なります。従来の現場テラゾーは30〜50mm程度の厚みが必要とされますが、近年は5〜10mm程度の薄塗りタイプもあり、改修や工期の限られた店舗で検討されるケースが増えています。図面だけでは判断が難しいことも多いため、現地で下地や床の高さ関係を確認してから工法を決めると安心です。

製造から施工、廃材の受け入れまで一貫して相談できる体制のメリット

廃瓦の受け入れから製造・施工・補修までをひとつの窓口で担うEcoKawaraの一貫体制と、屋内のテラゾー床と屋外の舗装をまとめて相談できることを示した図

テラゾー床は、素材の配合と現場の施工がかみ合って、はじめて狙いどおりの仕上がりになります。素材を製造する会社と施工する会社が分かれている場合、色味の調整や工程の変更のたびに確認の手間が増えることも少なくありません。

もうひとつの特長が、産業廃棄物中間処理業としての体制です。改修工事で発生した廃瓦などを資源として受け入れ、新たな建材に生まれ変わらせるところまで視野に入れた提案を行っています(受け入れの条件は、品目や量に応じて個別にご確認ください)。瓦リサイクル率60%以上の素材を使うことで、廃棄物の削減や新たな資源の採取の抑制につながり、CO2削減の観点からも環境配慮の取り組みを示しやすくなります。

屋内のテラゾー床とあわせて、屋外アプローチの保水性舗装や遮熱舗装など、ヒートアイランド対策を意識した外構計画もご相談いただけます。建物の内外を通して環境配慮の方針をそろえたい場合も、お気軽にお声がけください。

テラゾー床に関するよくある質問

店舗や公共施設でテラゾー床を検討されている設計者や施設担当者の方から、よくいただく質問をまとめました。採用の判断や、社内・発注者への説明にお役立てください。

Q1. テラゾー床は滑りやすくありませんか?

テラゾー床の滑りやすさは仕上げ方法によって変わり、磨き仕上げでは水濡れ時に滑りを感じるケースがあります。一般に、すべり抵抗係数(C.S.R値)が0.4以上あると滑りにくい床とされ、研磨の程度や仕上げ方法、防滑処理で調整を図るのが一般的です

Q2. 既存の床の上からテラゾー床を施工できますか?

既存床の上から施工できるかは、下地の状態と確保できる仕上げ厚によって異なります。従来の現場テラゾーは30〜50mm程度の厚みが必要とされますが、近年は5〜10mm程度の薄塗りタイプもあり、改修や工期の限られた店舗で検討されるケースが増えています。

Q3. テラゾー床にひび割れが起きる原因は何ですか?

テラゾー床のひび割れは、下地コンクリートの割れや動きが表面に現れて生じるケースが多いとされています。そのため、下地の誘発目地と同じ位置にテラゾー側にも目地を設けるなど、設計段階での目地計画が重要です。

Q4. テラゾー床の日常清掃では、どのような洗剤を使えばよいですか?

テラゾー床の日常清掃は、掃き掃除とモップでの水拭きを基本とし、汚れには中性洗剤を使うのが一般的です。セメント系の素地や大理石系の種石は酸の影響を受けやすく、トイレ用などの酸性洗剤は艶落ちやシミの原因となるおそれがあるため、使用を避けるケースが多いです。

Q5. 廃瓦を使ったテラゾー床も、部分補修や再研磨はできますか?

廃瓦を骨材に使ったテラゾー床も、一般的なテラゾーと同様に、部分補修や再研磨で表面の回復を図れる場合があります。ただし、劣化の範囲や程度によっては補修跡が目立つこともあるため、種石や色味をどこまで合わせられるかを事前に確認しておくと安心です。

まとめ

店舗や公共施設の床は、多くの人が毎日使い、簡単には張り替えられない場所です。テラゾー床を検討する際は、素材の魅力だけでなく、施設の使われ方や竣工後の維持管理まで見据えて仕様を決めていくことが大切です。

この記事で紹介した検討のポイントを振り返ります。

  • 耐久性:歩行量や荷重を用途ごとに洗い出し、厚みや下地、目地の計画まで含めて検討する
  • 清掃性:水や油、薬剤の使用状況を確認し、滑りにくさと清掃のしやすさのバランスをとる
  • 意匠性:種石やベース色、仕上げ方法の組み合わせを、サンプルやモックアップで確かめる
  • メンテナンス:日常清掃から再研磨までの役割分担を決め、維持管理計画に落とし込む
  • 環境配慮:再生材を使った素材を選ぶことで、施設の環境方針を床で表現する

テラゾーは、表面を研ぎ直して美観の回復を図れる床材です。設計段階の計画と竣工後の手入れがかみ合えば、長く使い続けられる床に近づきます。廃瓦を骨材に使ったテラゾーなら、耐久性や意匠性に加えて、資源循環の取り組みも来訪者の目に届く形で伝えられるでしょう。

仕様の検討や工法の選定で迷うことがあれば、設計の早い段階から専門の施工者に相談しておくと、選択肢を広げやすくなります。

テラゾー床のご検討・ご相談はEcoKawaraへ

EcoKawaraでは、廃瓦を骨材に活かしたテラゾー床をはじめ、保水性舗装や遮熱舗装などの環境配慮型建材を、自社で製造・施工しています。産業廃棄物中間処理業として、廃瓦の受け入れから製品化、現場での施工までを一貫して手がけている点が特長です。

設計の初期段階でのご相談から、仕様の検討、発注前のお見積りまで、検討の段階に合わせてお気軽にお問い合わせください。

ご相談の窓口

窓口 内容 おすすめの場面
資料請求 製品カタログ、仕様書、環境性能に関する資料 社内検討や発注者への説明に使う資料がほしいとき
サンプル請求 種石・ベース色・仕上げ方法の異なる実物サンプル 色味や質感を手に取って確かめたいとき
お問い合わせ 用途や条件に合わせた仕様のご相談 工法の選び方や、施工の可否を知りたいとき
現地調査・お見積り相談 既存床や下地の確認、工法のご提案とお見積り 改修案件や、発注に向けて具体的に進めたいとき

お問い合わせの際に、次のような情報をお知らせいただくと、より具体的なご提案につなげやすくなります。

  • 施設の種類と、施工する場所・おおよその面積
  • 新築か改修か(改修の場合は既存床の仕上げ)
  • ご希望の工期や、デザインのイメージ

まだ情報がそろっていない段階でも、ご相談を承っています。テラゾー床の採用を検討される際は、どうぞお気軽にお声がけください。

 

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